パネルディスカッション
ダグラス・リドロフ
石村 真由美
今井 ミカ
江副 悟史
早瀬 憲太郎
司会:牧原 依里
120分
登壇者 / 司会者 使用言語 :日本手話・アメリカ手話
通訳・文字起こし:日本手話・日本語(音声/文字)・英語(文字)
聴者監督が手話やろう者をテーマに作品を手がける際、重要な役割を果たすのが「手話監修」(アメリカではDASLと呼ばれる)。本パネルでは、アメリカと日本における手話監修の実践に注目し、その役割の違いや共通点を探る。映画や舞台の現場で実績を持つダグラス・リドロフ、石村真由美、今井ミカ、江副悟史、早瀬憲太郎を迎え、現場で直面する葛藤や手話監修とDASLの可能性について意見交換を行う。言語と演出の交差点を紐解く120分。
DASLとは
American Sign Language(ASL・米国手話)ディレクターまたはArtistic Sign Language(芸術的手話)ディレクターを指し、ASLの創造的かつ専門的な活用を推進する多様なアプローチを示す。
手話監修とは
舞台や映画、テレビ番組、映像作品などにおいて手話表現が正確で自然であるかを確認・調整する専門的な役割を指す。音声言語でいう「言語指導」や「方言指導」+「文化監修」のような役割を手話とろう文化において担っている。
ダグラス・リドロフ
DASL / 映画監督
映画・テレビ業界においてASL(アメリカ手話)コンサルタントとして活動し、手話表現が正確かつ自然に描かれるよう専門的な知見を提供する「DASL」を担う。手話が物語の中核をなす映画『クワイエット・プレイス』シリーズや、ろう文化に注目を集めた画期的な作品『エターナルズ』(マーベル)などに関わる。最近では、ろう者の描写とASLの表現により焦点を当てたマーベルのドラマシリーズ『エコー』にプロデューサーとして参加した。また映画監督としても活動中。
石村 真由美
手話演出
鹿児島県出身。手話講師他、ColdPlayへ楽曲の手話協力をはじめ、雑誌「リベラルタイムズ」や漫画「僕らには僕らの言葉がある」、映画『SHE HEAR LOVE』(2023)、『ぼくが生きてる、ふたつの世界』(2024)など多数の作品において手話指導・手話監修を行っている。
今井 ミカ
映画監督
群馬県出身。第一言語が日本手話のろう者。2018年制作のろう×LGBTQを題材にした長編映画『虹色の朝が来るまで』が話題となり、2019年11月に劇場一般公開。2021年制作の『ジンジャーミルク』では国内外の映画祭で受賞。2022年に映画・映像制作および芸能プロダクションの株式会社サンドプラスを立ち上げる。日本科学未来館や国立西洋美術館などの文化施設の手話による映像制作にも取り組んでいる。聴者への手話指導、ろう監修としての近年の主な参加作品に上田慎一郎監督ショートムービー『避難所で推しと遭遇した話』、映画『⼗⼀⼈の賊軍』 (2024)など。
江副 悟史
株式会社エンタメロード代表取締役 / 社会福祉法人トット基金日本ろう者劇団代表
当劇団の自主公演や手話狂言の他、一人芝居や映画、ドラマに出演。2009年TBS『ラブレター』をきっかけに映画、ドラマ、舞台、テレビ番組、CMなどに手話指導及び手話監修を担当する。2024年にろう俳優、手話指導や手話監修などをメインにした芸能事務所「エンタメロード」を設立。
手話指導/手話監修としての近年の主な参加作品はNHKEテレ『手話で楽しむみんなのテレビ』の他、CM『ACジャパン』、NHKドラマ『デフ・ヴォイス法廷の手話通訳士』(2023)、ミュージカル『SIX』(2025)、舞台『忍たま乱太郎」』(2025)、ミュージカル『Annie』(2025)、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』(2025)などがある。
早瀨 憲太郎
映画監督/手話演出
奈良県出身。2001年から乳幼児向けの映像制作を始める。2009年に劇場映画『ゆずり葉』(2009)で監督デビュー。『生命のことづけ』 (2013)、『咲む』(2020)の監督・脚本を務める。イ・ジェハン監督『SEE HEAR LOVE』など数々の映画、映像作品の手話指導・手話監修を担ってきた。呉監督『ぼくが生きてる、ふたつの世界』(2024)では初の手話演出を務めた。